2025年3月19日11時から大阪地方裁判所202法廷で開かれた公判の傍聴席は、市民で満席になりました。
本日の裁判では、第5事件原告代理人の吉川弁護士が意見陳述を行いました。内容は、IR用地に隣接する関西電力変電所の地価が「1㎡あたり33万円」と鑑定評価されたのに対し、IR用地は「1㎡あたり12万円」と鑑定評価され、それに基づき算出された賃料は「適正な対価」ではないという主張です。
関西電力送配電は変電所を建設中で、市側は23年度中の売却を目指して同年4月、売却額の算定を不動産鑑定業者に委託しました。鑑定額は、市関係者によると「1平方メートルあたり約15万円(計約8億円)」。近隣のIR用地の評価額(売却の場合1平方メートルあたり12万円)を上回りました。
市側はこれを同6月、市不動産評価審議会に諮りましたが、審議会では算定方法などに疑問や異論が相次ぎ、市長への答申を見送る異例の判断が示されました。市側はその後、同7月に別業者に算定を委託。24年2月には3回目の算定をさらに別の3業者に委託しました。諮問価格は前回の倍以上となる「1平方メートルあたり約33万円(計約18億円)」。前回生じた疑念などは解消されたとみられ、承認に至りました。しかし、契約には至らず、1年がかりで決まった売却額は「無効」となりました。(「朝日新聞」報道※)
基礎価格12万円を基に算出されたIR用地の賃料は、「適切な対価」ではないこと、この賃料を定めた大阪市長らの責任を追及するための資料として、吉川弁護士の意見陳述が行われました。吉川弁護士の陳述の間、法廷内は静まり返って、原告団メンバーや傍聴者は、その一言一句に耳を傾けました。
※朝日新聞記事 https://www.asahi.com/articles/AST2B2CC9T2BPTIL00GM.html
次回期日:6月17日11時~/次々回期日:10月9日11時~ いずれも大阪地裁202号大法廷
<報告会> 弁護士会館202・203会議室で「住民合同訴訟」関係者と傍聴者のほぼ全員が参加しての報告会が開かれました。
(1)前回の報告会で要望があった「第1から第6裁判の関連」についての説明がありました。(資料参照)
◆「3つの原告団と事件番号→緑・橙・青の各色別で原告チームが表されている。
◆「共同訴訟参加関係」→各□囲み内が訴訟内容別のグループ分け。各グループの一番上の訴訟団が「原告」であり、二番目からの訴訟団は「参加人」と呼ばれる。

(2)次に、法廷で意見陳述をした吉川弁護士から陳述内容の説明や法廷内の印象について話がありました。
(3)続いて、原告代理人(※原告=資料「共同訴訟参加関係」の各グループの一番上の訴訟団のこと)が順に状況や問題意識を語りました。
(4)会場からの質問と訴訟団からの質疑応答の場では山田明さん(原告)が大阪市会での陳述の活動を紹介し、今の大阪市会の動きを説明されました。「夢洲2期 跡地利用」へのパブリックコメントが3月26日まで募集されているのでみんなで提出しようと呼びかけられました。
(5)「3.23パレード」の実行委員長である桜田照夫さんが、カジノ・万博の問題点の指摘の後、「万博中止を求めて3.23パレードに参加しよう!」と呼びかけました。桜田さんは当会が作成した最新チラシの内容を引用して万博会場の問題点を解説されました。
しめくくりは藤永のぶよさんで、報告会での発言者の全ての方が述べられた「裁判の行方の鍵を握っているのは私たち市民だ。みんなで訴訟に勝利してカジノ計画を止めよう!」という趣旨の呼びかけをされました。
(報告 井上眞理子・原田智代)